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メンタルとRainbow Six SiegeのPro Leagueについて好き勝手に考察する。ついった@Fuji3_R6

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シージ雑感#1 インパクト餅つき(Impact trick)について。今後の調整はどうするべきか?

 

はじめに

インパクト餅つきにはヘイトが溜まっていたり、修正すべきと考えている人も多いのではないだろうか。自分もその一人である。

今回はそんなインパクト餅つき(Impact trick)について箸休め程度に書いていこうと思う。自分は競技シーンを好んでいるため、競技シーンを主軸とした視点にはなると思う。ご了承頂きたい。

意見や考察ではなく”雑感”の為、「~するべき/~であるべき」といった強い主張をしたい訳ではない。軽く受け止めて気軽にリアクションして頂ければ幸いだ。

ちなみに、Impact trickとは海外キャスター陣が用いるインパクト餅つきの名称だ。バンディット餅つきにはBandit trick、カイド餅つきにはKaid trickといった言われ方をしている。

 

さて本文を始める前に、環境調整やオペレーターの調整の部分にまで言及する為、前提として自分の環境/性能調整に対する考え方/スタンスを記しておく。少し長いので興味の無い方は飛ばして頂きたい。

 

自分が諸々の調整に対して考える時に意識することは「性能の尖りを削って性能や環境を平坦化させること」ではなく「ある尖り方を別の尖り方に変えること」

バランスを良くするというよりは、アンバランスを別のアンバランスに変えるといった感じだ。というよりは自分の考える”バランスの良さ”が特殊?で、例を出すと「攻撃側の強オペの数と防衛側の強オペの数が等しい」といった感じ。

この理由については深く説明しないが、簡単に言えば「性能/環境の平坦化は後に続かない」という考えを基にしている。一度バランスが良くなったものがアンバランスになる際に感じるストレスは、アンバランスなものが別のアンバランスになった際に感じるストレスとは比べものにならないほど大きい。例えば現状バランスの良いと言えるヴァルキリーやテルミットが突然に強くなったり弱くなったりしたら、強い疑問を感じる人は多いだろうと思う。

 

 

そもそもインパクト餅つき(Impact trick)とは?

インパクト餅つきについて知らない方がいらっしゃるかもしれないので、念のために軽く説明しておこう。

 

インパクト餅つきとは、補強壁/補強された落とし戸に対して貼られたテルミットのヒートチャージや火花のブリーチングペレット(以下、ハードブリーチングガジェットとする)を防衛側のサブガジェットである「インパクトグレネード(以下、イングレ)」を投げることによって破壊するテクニック。

補強壁の上部に「壊せる壁」が残っていることが必要で、その部分をショットガン/イングレ等で破壊して穴を事前に開けておく必要がある。補強された落とし戸の場合はその周辺に壊せる床があることが必要。

開けられた穴からイングレを”ハードブリーチングガジェットが貼られた側”の壁や天井またはオブジェクトに当てることで、爆風がハードブリーチングガジェットに到達し、破壊できる。つまり、ハードブリーチングガジェットが貼られた補強壁の裏側(落とし戸の場合は下側)に居ても相手のハードブリーチングを防ぐことができる。

 

このテクニックによって防衛側は射線やエントリールートが作られるのを防ぐことができる。バンディットやカイドまたはミュートに頼らずとも、補強壁/補強された落とし戸の破壊を阻止できる。加えて、他の餅つきと同様にハードブリーチングガジェットを破壊することができる。もちろん、バンディットやカイドまたはミュートと組み合わせることで、さらにハードブリーチングを阻止できる可能性が高まる。

 

バンディットやカイドの餅つきとは違い、攻撃側の明確なカウンター手段が存在しない。一応の行われている対策としては、補強壁の開いている穴からフラググレネードを投げ込んでイングレ持ちをkillする…もしくはインパクト餅つきが行えないように遠ざける/部屋から追い出すこと。

しかし補強壁から離れていても行うことができるので、フラグによる牽制効果はそこまで期待できず、カウンター手段とは言いがたい。

マーベリックのブリーチングトーチによって穴を開けて、インパクト餅つきを防止するという方法もあるが、開けた穴が逆にイングレを投げ込む隙間になったりする為に効果が薄い。これもカウンター手段とは言いづらいだろう。

テルミットのヒートチャージを補強壁に接した床に張る方法もある。床に張るとイングレの爆風が届かない為だ。これによって補強壁の"足下のみ"が開く。補強壁に穴は開くものの、伏せでも通れない高さである。この後にもう一度ブリーチングガジェットを張り付けても、先ほど作った足下の穴からイングレを投げられると、結局通れるだけの穴は開かない。作れるのは伏せでしか覗けない射線のみではあるが、それでも射線を作れる意義は大きく、多くのチームが取り入れている。しかし攻撃側が本来やりたいこととは言い難く、苦肉の策と言えるだろう。

 

大会mapでは主にクラブハウスやヴィラにおいて盛んに行われている。

最近は床を工事して行うインパクト餅つきも開発されたようだ。

LATAM PL Season9 後半戦 BD vs INTZ (36:50~36:58辺り)

オレゴン2階、共同寝室(小)とウォークインの床を工事する(ウォークインは工事しなくても良いかもしれない?)→1階、教室の高いところにあるオブジェクトにイングレを当ててウォークインに爆風を届かせるという仕組みのようだ。


R6 Pro League - Season 9 - LATAM - Black Dragons vs. INTZ e-Sports - Oregon - Week 14

 

なぜインパクト餅つき(Impact trick)について書くのか?

事前に補強壁の上に穴を開けておいて、イングレによってハードブリーチングを防止するというテクニック/発想が生まれたことは、シージ民の発想力/研究力の成果である。素晴らしいことだと思うし、他のゲームには無いシージらしいテクニックだと思う。

しかし、大きな問題点がいくつかある。あまりに強力過ぎるのだ。特に大きな問題点はまともな対抗手段が存在しないことである。これが大きな不公平を生じさせている。

最近はかなり一般的な戦術として取り入れられており、その強力さと対抗手段の無さが一部の試合をつまらなくさせているような印象もある。

 

自分個人のポリシーとしてはそんな強力な要素が存在しても良いとは思うのだが、インパクト餅つきは強力無比なテクニックとして、かなり長期に渡って君臨している。そろそろ対抗手段が欲しいところだ。

対策しようが無い強力な戦術が長く続くというのは、コンテンツ力の低下を招く可能性があると考えている。

以下にそんなインパクト餅つきの問題点について思いついたものを記載していく。

 

①貴重なハードブリーチング用のメインガジェットが単なるサブガジェットに一方的に破壊されてしまう

メインガジェットはオペレーターの個性/強みとして重要な要素である。そんなメインガジェット、しかもシージにおいて重要かつ限られているハードブリーチングガジェットが、イングレという、誰でもいいとまでは言えないがある程度のオペレーターが用意できるサブガジェットに一方的に破壊される。それはやっぱりおかしいことかもしれない。

いや、破壊できること自体は良いのかもしれない。破壊できることを否定するとインパクトグレネードの存在意義が少し失われてしまう。しかし…ただ破壊できる訳では無いのが問題だ。それについては下記の②で書く。

 

②攻撃側が支払うリスクと防衛側が支払うリスクが釣り合っていない。圧倒的に防衛側優位

攻撃側が補強壁を破壊したいと思ったらどうするか想像してみよう。

破壊したい補強の周辺、あるいは防衛側が飛び出してくる可能性のある部屋をドローンや体を使ってクリアリングする→味方に飛び出しやpeekをロックしてもらう、または自身で強く警戒しながらテルミや火花が補強壁まで近づく→下からのニトロによる突き上げがないかドローンや体を使ってクリアリング/警戒する→味方に引き続き飛び出しをロックしてもらいながらハードブリーチングガジェットを張り付ける→補強壁が割れる。

長々と書いてしまったが、つまり攻撃側は味方との連携や諸々の警戒が必要で、時間やガジェットを消費する可能性が高いということだ。

それに対して防衛側はどうだろうか。ブリーチングガジェットの音が鳴ったら「ポイッ→バーン」終わりである。1人で大した労力無く出来る。

いや、実際には1人で行うのが危険なのは確かだ。しかしイングレ投擲の隙が少なすぎるため、防衛側はリスクがほぼ無い。投げたらすぐに攻撃側の飛び出し/peekに警戒するのは1人でも十分に可能だ。

加えて言えば、メインガジェットとサブガジェットのぶつかり合いが起こるということはつまり、片方は失敗してもサブガジェットを失うだけだが、片方は失敗すると貴重なメインガジェットを失うということになる。

このように攻撃側が人数と時間とガジェットを使ったことにより支払うリスク/リソースと防衛側が用意して消費するリスク/リソースがあまりにも見合っていない。

 

③いくつかの強オペレーターが”ついで”のように持ってきたインパクトグレネードで実行可能

特に競技シーンにおいて重要/有用なオペレーターである、スモーク、リージョン、カイドが問題だ。

スモークは競技シーンにおいてはメインガジェットによる時間稼ぎが有用で、必須に近いオペレーターである。ショットガンを持ってきやすい為に事前準備の工事も容易だ。

リージョンもメインガジェットがかなり強力で使い方も多様。もう片方のサブガジェットが展開シールドであることも加わってイングレを持ってきやすい。競技シーンにおいてはリージョンがインパクト餅つきを行っている光景は非常に多くみられる。

カイドはそもそもメインガジェットがハードブリーチングを防止できる。イングレも持ちだせば、1人で割らせず、ひたすら時間を稼ぎ続けることが可能。工事用のショットガンも持てる。

このようにメインガジェットが競技シーンでも有用と認められるオペレーターが"ついで"に行えてしまっている。

 

④有効な対抗手段が存在せず、バンディット餅つきなどのメインガジェットを用いたものより強力かつ手軽かつ安全

①~③の話も加味すると、インパクト餅つきというのは「有用なメインガジェットを持つオペレーターが、1人でほぼリスク無く、隙無く、失敗してもほとんど問題無く、行うことのできるハードブリーチング妨害」であると言える。

バンディットは補強壁の直近でかなりの隙を晒しながら行わなければならない。カイドは起動までに時間がかかることにより確実性が薄い。メインガジェットはEMPで壊され、ゾフィアのコンカッションによって使用をキャンセルされてしまうが、イングレではそんなリスクは無い。

加えて言えば、バンディットやカイドはブリーチングガジェットが起動する前に設置しなければならないが、インパクト餅つきでは起動を確認してからでも十分に間に合ってしまう。

場所が限定されるとはいえ、インパクト餅つきの方がリスクもリソースも少なく、かつ確実性が高い。

 

上記したインパクト餅つきが盛んに行われるmap、クラブハウスやヴィラでは、試合の中心が補強壁が割れるかどうかということになりがちな印象も受ける。

最近ではその成功の見込みの無さに、インパクト餅つきができる場所に対しては、補強壁を割る試みを全く行わないチームが増えている印象もある。合理的に勝利を追求した結果ではあるし、そのような戦法を取り入れるのも良いとは思う。しかし、補強壁が絡まないと「シージらしさ」が大きく減ってしまう気もする。

人にもよるだろうが、インパクト餅つきが試合の主題になることを好まない人も多いだろう。(しかも、運の要素がかなり絡んでくる。)

 

 

具体的な調整ついて思いついたこと

インパクト餅つき(Impact trick)を完全に行えないよう調整する。

イングレの仕様調整や補強壁の上の部分を無くすといった調整だろうか。インパクト餅つきというテクニックを無かったことにする調整。

イングレの調整で思いつくこととしては爆発範囲を小さくする事だろうか。しかし、今の段階でもそれ届いた?と言いたくなる事は多い。爆発範囲を狭めたところで完全に防止は出来るだろうか。それから普通に壁に投げたときに開く穴の大きさはどうするのかという疑問もある。

補強壁の上の部分を無くす(完全に補強壁で上まで埋める)という調整はインパクト餅つきを完全には防げるだろうが、大きなmap調整であり、攻撃側が隙間からフラグやフラッシュバンなどを投げ込むことも出来なくなってしまう。いくつかの面白い射線も無くなってしまうかもしれない。

 

先ほども書いたが、インパクト餅つきというテクニックが開発されたことは素晴らしいこと、発想の勝利だと思っているので、完全に無くしてしまうのは個人的には少し残念に感じてしまう。

 

インパクト餅つき(Impact trick)専用の防衛オペレーターを作る

これはTwitterで頂いた意見で、個人的にも面白い意見だと感じた。

強力な戦術なぶん、せめて専用のオペレーターを用意しなければならない環境にしようということだ。

問題点を挙げるとすれば、通常のイングレによるインパクト餅つきの対策はどうするのか?ということ。

それからインパクト餅つきが主題のオペレーターが出来たとして、カジュアルプレイヤーが使って楽しいのか?ということ。競技シーンが一番大事という意見もあるだろうが、結局、ある程度のキャラの面白さや楽しさが無いと競技プレイヤーもストレスだろう。旧ライオンが競技プレイヤーにつまらないつまらないと言われつつも、勝つために使われていたのと同じだ。

では、楽しさや面白さがあるオペレーターにすれば良いとなるが「何かしらの爆発物を投げる」「カジュアルプレイヤーが使っても楽しい」「インパクト餅つき抑制が目的なので投げられる数は少なくしたい」これらの要素を満たそうとすると、とんだOPになりそうな気もする。少なくとも自分の発想力では無理だった。何かアイデアあればお待ちしてます。

 

”攻撃側のADS”を持っている攻撃オペレーターを作る

ここで言うADSとはもちろん、Active Defence System、つまりイエーガーのメインガジェットのことだ。*1

防衛側うんぬんではなく、攻撃側に対策できるオペレーターを用意しようということだ。

僕の中のイメージでは投げつけて壁や天井にも張り付けることができ、イングレだけでなく、スモークのガス、ニトロセル、エラ棒やGUマインなど、投げられたもの全般を無効化するイメージだ。(無効化回数は1ガジェットにつき1回。もちろん防衛側が先に投げていたものには反応しない。)

モジ蜘蛛の範囲に置いてしまったらハッキングされるとかでも面白いかもしれない。

 

この案には大きな問題点があって、銀行地下やオレゴン地下などニトロセル等のガジェットによって防衛が成立している防衛場所のメタが崩壊するということだ。環境に著しい衝撃を与えるのは間違いない。

加えて1つ上の案でもあった、カジュアルプレイヤーが使って面白いのか?という疑問も出てくる。というより普通に使うぶんには、メチャメチャつまらないオペレーターになる気がする。

まだ問題はある。この案では結局、イングレ持ちを複数人用意すれば、インパクト餅つきを成立させられるということだ。イングレとADSの不毛な争いが始まるのは、はたして今より良い環境なのだろうか…

 

インパクトグレネードを所持しているオペレーターを制限する(インパクト餅つきの為のpickが行われる環境)

 一番現実的かつ手軽な調整かなと思うのがこちら。「なぜインパクト~」の項目の③で書いたが、競技シーンにおける必須オペや強オペが”ついで”にイングレを持ってきて”ついで”にインパクト餅つきを行えてしまうのが問題という気はしている。インパクト餅つきが行いたいなら貴重なオペレーター枠を使えということだ。

この案ではスモーク、リージョン、カイドからイングレを取り上げる必要があるだろう。

これによってイングレ持ちは競技シーンにおいては必須オペレーターではない、アリバイ、ルーク、カプカン、キャッスル、カベイラ、ヴィジルとなる。

ヴィジル、カベイラは補強壁の裏側よりも遊撃に行きたいだろうし、ルーク、カプカンもいいだろう。キャッスルやアリバイは競技シーンにおいても有用で、現状でもインパクト餅つきのためにpickはされたりするので微妙なところだ。

 

この案の問題点として、現状は防衛側のサブガジェットというのは種類が少なく、防弾カメラや有刺鉄線との交換になってしまうであろうことだ。それはそれで強力過ぎるようにも思われる。

そして枠を消費すれば、相変わらずインパクト餅つきは行えるということ。防衛の優位性はそこまで変わらないかもしれない。(それでも現状よりは良いだろうが…)

 

 

終わりに

今回はインパクト餅つき(Impact trick)について書いた。この記事で取り扱った調整については荒唐無稽なものもあったかもしれない。加えてどの案にも問題があった。しかし、そろそろインパクト餅つきに関しては何かしらの調整が入ってもいいだろうという思いもあり、書いてみた次第である。

皆さんはインパクト餅つきについて、どんなことを思った/思っているだろうか。こういったことについて考えたり意見を言ったりできる余地がある点は、シージの良いところのひとつのような気がする。

仲間内で議論しても良いし、SNSで意見を出してみても良い。色々とアイデアを出し合ってみるのも面白いだろう。

 

ここまで読んでくださった方はありがとう。暇つぶしにでもなったら幸いだ。というか箸休めくらいの感覚で書き始めたら想像以上に長くなってしまった。

肯定/否定問わずに、意見/感想をお待ちしています。あと、アイデアも。

それでは、また。

 

 

*1:Aim Down Sight、つまり銃のサイトを覗き込むというのもある。他のFPS民にはこっちのADSの方がなじみがあったりする。